多くの方は推薦状の経験がなく、推薦状の書き方がわからず苦労することが多いです。
あなたもどのような構成にしたらいいのか、どのくらいの文字数が適切なのか、など多くのことに頭を悩ませていませんか。
僕自身も受験生だった際は推薦状について何もわからず、様々な情報を調べて推薦状を仕上げたことをよく覚えています。
こちらの記事ではそのような悩みを解決するべく、推薦状の構成や書くべき内容・文字数まで全て説明していきます。この記事を読めば、推薦状をどのように書けばいいのかを理解することができます。
- 推薦状は受験生を客観的に判断するための材料
- 載せるのは「関係性」「成績」「資質(人柄)」「推薦理由」の4点
- それぞれの内容に具体的な内容を付け加える
- 4段落程度で文字数は400words~600words
推薦状の意味・役割
推薦状は日本の大学院には求められない提出物なので、そのように疑問を持つ方も多いと思います。
推薦状の役割
推薦状の主な役割は以下の2つです。
<推薦状の役割>
- 第三者視点の評価
- 他の書類では見えない受験生の資質紹介
これらについて簡単に説明していきます。
第三者視点の評価
エッセイなどでは「自分はこんな能力があります」「こんなことを今までしてきました」など自分で書くため、多少の誇張などが含まれることがあります。
しかし、推薦状は推薦者である教授や上司によって作成され、提出されるものなので、他者の視点から受験生にどのような能力があるのかを客観的に伝える役割を持っています。
そのため、自分のことをよく評価してくれている方に推薦状を依頼することが重要となります。
他の書類では見えない受験生の資質紹介
成績表や履歴書などだけでは伝わらない、受験生の魅力や資質を紹介するのも推薦状の役割です。
推薦状では受験生の資質や能力を伝えるために推薦者と受験生との具体的なエピソードの紹介を記載することが多いです。
エピソードを通して、受験生が大学で活躍できる人材であること、他の候補者と比べて優れていることを具体的に表現することが推薦状における一番のポイントでしょう。
推薦状の役割は「第三者視点の評価」と「他の書類では見えない資質紹介」の2つ
推薦状の文字数・段落数
推薦状の書き方についてですが、以下のように書くと効果的な推薦状に仕上がることが多いです。
<推薦状の構成>
- 4段落構成
- 文字数 400words-600words
4段落構成
推薦状は多くの場合、4段落構成になっており、それぞれの段落で1つの内容について詳しく説明しています。
推薦状に載せるべき内容は以下の4点です。
<推薦状に載せるべき内容>
- 受験生と推薦者の関係 (1段落)
- 学業の成績 (2段落)
- 受験生の人柄 (3段落)
- 推薦理由 (4段落)
文字数
推薦状を書くときに気になるのが「どのくらいの文字数」で推薦状を書けばいいのか、ということです。
大学院側は特に明確に推薦状の文字数制限を設けていませんが、ポイントをしっかりと押さえた上で、文字数が400~600wordsになるように推薦状の量を調整していきましょう。
しかし、実は推薦状の文字数はあまり重要ではありません。
ナッシュは博士課程をプリンストン大学で過ごすこととなるが、カーネギー工科大学での指導教官であるリチャード・ダフィンがプリンストン大学へ送った推薦状には「He is a mathematical genius.(この男は数学の天才である。)」と書かれていた。
こちらのように学生を言い表す言葉が"genius"であるならば、その言葉だけで推薦状の役割を果たしてしまいます。
文字数にすると5wordsですが、この推薦状でジョン・ナッシュは合格を勝ち取りました。
文字数ばかりを気にするのではなく、推薦状に載せるべきポイントをしっかりと先生に伝えて書いてもらうようにしましょう。
推薦状は4段落で書き、文字数の目安は400words-600words。
文字数は必ずしも重要ではない。
受験生と推薦者との関係
第1段落では主に推薦者の自己紹介と受験生と推薦者の関係性を中心に説明していきます。
<推薦状の第1段落の内容>
- 推薦者の自己紹介
- 推薦者と受験生の関係性
推薦する先生が学生のことをよく知る立場にいること、そしてその関係性からどのような点において学生のことを評価できるのかを述べていきます。
関係性が深いことが推薦状においては重要なので、名前が通っている有名な先生よりも自分と関わりが深かった先生に推薦状を頼みましょう。
推薦者の紹介
推薦状の初めに推薦者の簡単な自己紹介を記載してもらいます。
推薦状は推薦者の社会的な信頼性をもとに、内容の信頼性を担保しているので、大学の先生や会社の上司など社会的信用がある人に依頼をしてください。
- 研究室の指導教員
- 雇用者や上司
- ポスドクの研究指導者
- 学科の教授
- 学術の指導者
- 家族や友達
- 宗教的な指導者
- 修士/博士課程学生
- 専門分野と関係の薄い雇用者や上司
- 専門分野と関係の薄い教授
スタンフォード大学では適切な推薦者を記載していますので、そちらも合わせて確認した上で推薦状を依頼する人を選ぶといいでしょう。
【もう迷わない!】スタンフォード大学発表の適切な推薦者の選び方とは?
自己紹介では自分が大学の指導教官なのか、学科の学科長なのか、会社の上司なのか、を明確に説明し、その立場からどのように推薦する学生と関わってきたのかを説明していきます。
受験生の関係について詳しく説明する
自己紹介の後に受験生との関係性について詳しく説明し、受験生のことを十分に知っていることを説明します。
推薦状で関係性を示すためには以下の2点を意識して書くようにしてください。
<関係性を示す際に注意すべき2点>
- 関わり方
- 関わった期間
関わり方
関係性を説明する上で、受験生との関わり方を具体的に説明することが重要です。
「授業で教えていた」「研究室でプロジェクトを担当してもらった」「TAをお願いした」など二人の関係性を具体的に説明しましょう。
関わった期間
受験生とどのように知り合ったのか、どのように関わってきたのか、どのくらいの期間知り合っているのかについて詳しく説明しましょう。
先生と学生の知り合ったことについて詳しく書くことで、関係性がより明白になります。
My acquaintance with John started in the fall of 2008.
こちらのように具体的に知り合った期間を明記すると、推薦者との関係がよりはっきりします。
【推薦状のポイント解説】教授との関係性を明確にする3つのポイント
第1段落では「推薦者の自己紹介」と「推薦者と受験者の関係」の2つを書く
推薦状は適切な立場の人に依頼する
関係性は「関わり方」と「関わった期間」を意識して記載する
学業の成績
推薦状の第2段落では主に学業成績について詳しく書いていきます。(卒業して時間が経ってしまった社会人の方も大学には成績が残っているので安心してください)
成績表については大学院へ送られるため、推薦状では成績表では現れない授業態度やレポート・研究活動などを中心に書いていきます。
学業成績についての説明を具体的かつ客観的に仕上げるためには以下の2点に注意して記載するようにしてください。
<第2段落で載せるべき内容>
- 具体的な体験を記載する
- 他の学生と比較する
具体的な体験を記載する
推薦状ではGPAでは見ることのできない授業態度や課題に対する取り組みで優れていた点などについて詳しく説明してもらいます。
結果はもちろんですが、その結果に至るまでの過程も重要で、どのように結果に結びつけたのか、またそこからどのような点が優れていると考えられるのかを記載してもらうことが重要です。
He always took the initiative to the discussion during classes. He often asked me questions after the classes, and most of them were so critical that I was always impressed by his broad knowledge and interesting ideas.
【1500DL以上された推薦状サンプル】海外大学院に提出した推薦状の紹介
このように具体的に書くことで推薦状の中身を充実させることができ、推薦状の説得力を上げることができます。
Transcript(成績表)は大学に提出する必要があるので、実際の成績表と事実が異ならないようにしっかりと良い成績をとった先生に推薦状をお願いしましょう。
他の学生と比較する
評価を客観的に見せるためにも他の学生と比較するのも有効です。
「この学生は非常に優秀な成績で単位を取得した」と記載されていても、どのくらい優秀な成績だったのか、他の学生と比べてどうなのか、などがわかりにくくなります。
しかし、他の学生と比較し、どのくらいの成績を数字などで表現することで客観的な評価基準として海外の大学院も判断することが可能になります。
たとえば,私が担当する修士1年向けのマクロ経済学(graduate core macro)のコースをあなたが履修し,36人中14位で「優」の成績をおさめたのであれば,まさにその通りのこと(36人中14位であったことを含める)を書きます。授業中やオフィスアワー中に質問や授業の内容についてのコメントを頻繁にしたのであれば,その旨記します。
このようにクラスで何番の成績を収めたのか、授業で何回発表をしたのか、など誰から見ても明らかに分かるように書くと客観的な評価であることがわかります。
数字で評価を表すことは誰からもわかりやすい判断基準になりますので、意識的に推薦状の内容に入れるようにして下さい。
第2段落では学業成績について書く
「具体的な体験」「他の学生との比較」の2点が重要
受験生の人柄
第3段落では推薦される受験生がどのような人物であるのかについて詳しく説明していきます。
第3段落において重要な点は以下の2点です。
<第3段落において書くべき内容>
- 入学後に活躍できる人物であることを示す
- 具体的なエピソードを示す
多くの研究がグループで行われるので、グループの中でしっかりと自分の役割を果たせる人物なのか、リーダーシップをとることができる人物なのかを推薦状でアピールします。
人柄についても「努力家です」「熱心な学生です」と簡単に書くのでなく、具体的なエピソードを交えて人物像が浮かび上がるように書いてもらいましょう。
入学後に活躍できる人物であることを示す
海外の修士課程や博士課程は非常に厳しい教育過程です。毎日のように課される大量の宿題やグループワークなどを着実にこなしていかなければなりません。
辛い時にも投げ出さずに、やりきることができる人物であるのかどうか、は受験生が留学後にしっかりと勉強を継続することができるかどうかの指標になります。
特にResponsibleだったり、Hardworkingであることは卒業するために必要な資質であり、大学院もこのような資質を持つ人を入学させたいと考えています。
そのため、大学院に卒業することができるようなしっかりとした人物であることを推薦状から伺えるような推薦状にしていきましょう。
エピソードを交えて書く
推薦状において受験生の資質を書く際は、まず資質を一言で表現し、その後その資質を示すことができるエピソードを交えて書きましょう。
「グループワークで、チームのみんなを引っ張って優秀な成績をとっていた」「研究でつまずいたとき、多くの論文を毎日読んで、問題を解決していた」など様々なエピソードを交えることで、具体的にイメージすることができるようにします。
成績表などと一致するようにできる限り具体的に書くようにしてください。
【1500DL以上された推薦状サンプル】海外大学院に提出した推薦状の紹介
第3段落では入学後に活躍できる人材であることを示す
具体的なエピソードも紹介しよう
推薦者を推薦する理由
最後の段落では今までの推薦状に記載したことをまとめて、推薦する受験生が大学院に入学するに相応しいことを記載します。
最後の段落ではそれほどたくさんのことを書く必要はなく、以下の2点を短くまとめましょう。
<第4段落で載せるべき内容>
- 今までの要約
- 推薦
今までの要約
初めに1文~2文程度で今までの要約を行い、どのような点が優れているのかを再度記載しましょう。
I feel very confident that Lisa will be successful in all her future endeavors. She is a focused and determined young woman.
今までのように具体的な例を出す必要はありませんので、簡潔に書くように心がけてください。
推薦
そして最後にもう一度、推薦者が受験生を推薦することを明記しましょう。
Therefore, I highly recommended her for your graduate program.
以上をまとめて、以下のような流れにするのが一番相応しい内容になります。
この学生はとても優秀で努力することができます。そのため、私はこの学生をあなたの大学に推薦します。
最後の段落では要約と推薦の2つを中心に簡潔に書く
最後に
今回は推薦状に載せておくべき4つのポイントをまとめておきました。
<推薦状に載せるべき4つの内容>
- 受験生と推薦者の関係
- 学業の成績
- 受験生の人柄
- 推薦する理由
これらについては確実に推薦状に載せておき、これら4つの点で効果的に自分をアピールできるように様々なエピソードを考えておきましょう。
実際に提出した推薦状はこちらに載せていますので、そちらも合わせてご参考にしてみてください。
推薦状を提出する前に英文の添削をすることは非常に重要です!
海外大学院に出願する際に受けるべき英文校正サービス3つを「価格」「大学院留学特化」「アドバイスあり/なし」「納期」の4点から評価してみました。
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